私が最も好きな短歌の話

久しぶりにブログを書く時間に恵まれたので、本日は私が最も好きな短歌について書かせていただこうと思います

「われらかつて 魚なりし頃 かたらひし 藻の陰に似る ゆふぐれ来たる」


水原紫苑さんの短歌です。これがどれだけ壮大なテーマの短歌なのか、今から私が勝手に語らせていただこうと思います

もう、出だしから非常にインパクトが強いですよね。「我らかつて魚なりし頃」って、、、これはソウルメイトの価値観として捉えることができます。何度生まれ変わっても、必ずその先で寄り添い合うことが定められた魂。これがソウルメイトです

そして、この前世に「魚」を選んだというのは、人類を含む全ての脊椎動物は魚類に祖先を持つという現代科学の結論が反映されています。つまり、ソウルメイトという宗教的価値観と現代科学がここに融合しているのです。この短歌には少し前の時代を牽引した宗教や、現代社会を駆動する科学といったこの世の全てが詰め込まれていると言えるでしょう

そして、ここまで壮大な背景を用意しておいて、この短歌で一番語りたいのは冒頭の「われら」の関係。この大きな宇宙からしたら非常に小さな存在です。しかしその小さな存在のために、この短歌はここまで大きな世界を用意しました。つまりこの「われら」というのはこの世界の全てと比べても全く見劣りしない、それだけのエネルギーを秘めた関係なのだということです。情熱的ですね

この短歌を知らなかった頃、私は短歌といったら、おじいちゃんやおばあちゃんが好きな、古臭いものだと思っていました。しかし、そんなことはありませんでしたね。短歌には、若い世代のとされる私たちが普段感じるような、ロマンや青春が詰められいるものがたくさんあるのです

水原紫苑さんというのは、非常に古典的な手法に拘って短歌を作られる方です。その古典的な手法で、今の私たちの心に共通するものを書いてしまうのだから、どれだけ時が流れても、色褪せない魅力を持っているのだと言えるでしょう

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