ツユクサ

最近よく、ツユクサが咲いているのを見かけます。ツユクサの咲く季節は主に夏だと言われていますが、私の街では一夏過ぎた時期の方がたくさん咲いているように思えます

大きく張った青い花弁に、カーブを描いて突き出た雄しべ。とても印象深い形をしていますね。幼い頃、ツユクサの事が気になって仕方がなかった事を覚えています。和歌や短歌の題材にもよく使われる花なので、きっと日本人に共通する感性なのでしょう

せっかくなので今回はツユクサに関する豆知識を一つ紹介します

ツユクサの特徴的な青い花弁は、少し変わった用途の絵の具として使われます。この花弁から絞り出した汁は、布などにつけても水で流せば完全に落ちてしまい、布が全く染まらないそうです。そのため、染物の下書きをするために使われていました。せっかくの綺麗な青色が全部落ちてしまうというのは残念な話ですが、その性質を逆に利用したというわけです

今はほとんどなくなりましたが、かつてはツユクサを栽培する農家も存在し、花が大きくなった「アオバナ」という栽培用の品種もあります

綺麗な青い花に囲まれる仕事、というと幸せそうに思えますが、現実は真逆です。朝に咲いた花は昼にはしぼんでしまうため午前中にその日咲いた全ての花を摘み取らなくてはならず、摘み取った花はその日中に加工しなければ変質して使えなくなってしまいます。そのため、花が咲く時期は毎日、文字通り一瞬も休む暇がありません。

しかも、先述の通りツユクサやアオバナの咲く時期は主に夏です。暑い日差しの中、膨大な量の作業を一日も休まずやるのです。その辛さから、アオバナの産地では「地獄花」という別名がつけられているそうです。

名前だけ聞いたら「こんな綺麗で儚い花に、どうして?」となりますが、農家の苦労を知ってしまうと納得できますね。もし自分がアオバナの農家をやったら、きっと二度と見たくない花になってしまうのだろうと考えると、なんだか恐ろしくなってきます

ちなみに、現在はアオバナの成分を科学的に合成できるようになったため、農家が生き地獄を味わう必要はなくなっています。これを聞くと少し安心ですね

また、ツユクサの葉や茎は下痢や熱に効く漢方薬としても使えます。お金を節約したい私は、よく軽い風邪にかかった時にツユクサを食べていました。本当は乾燥させなくてはならないのですが、私はそのまま食べてしまいます

本当に効き目があるかどうかは、微妙です。単に免疫のおかげで治っているだけかもしれません。気休め程度のものなのかもしれません。まぁ、いないと思いますが、私の真似をしようと思った方は、自己責任でお願いします

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